浜松医進会塾長/浜松医科大学医学部医学科5年
東海中学・高校学校を卒業。1年間の浪人生活を経て浜松医科大学へ入学。高校卒業時は学年最下層の成績だったが、1年間の猛勉強の末に医学部へ進学した。
こうした自身の経験をもとに、2023年に浜松医進会を立ち上げ。
自分の目指すべき大学を決めるのはとても難しいことです。
- 模試の成績
- 自分の家から通えるか・通えないか
- その大学・学部を出て、自分が目指すキャリアを歩めるのか
など、様々なことを入試前から考えなければなりません。
また、特に最難関レベルの大学に進学を考えている受験生の中には「医学部と東大、どっちを受験するべきなんだろう…?」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、東大卒業後、社会人を経て浜松医科大学医学部医学科に編入という経歴を持つ医学生、田島拳士郎さんにインタビューを実施。それぞれの偏差値・受験科目・出題内容の違いや、キャンパスライフ・卒業後のキャリアについてお聞きしました。
「医学部と東大、どちらを受験する方が自分に合っているのか分からない」
「医学部と東大で入学後・卒業後の生活はどう変わるのか、どちらに行けば、なりたい自分になれるのか分からない」
このような方はぜひ参考にしてみてください。
田島拳士郎さんのプロフィール
愛知県豊橋市出身。
愛知県立時習館高校を卒業後、1年の浪人期間を経て東京大学理科Ⅰ類に進学。
卒業後は東京大学大学院や海外の大学院で学業に励んだのち、国家公務員を経験。
その後、浜松医科大学医学部医学科に編入し、現在同大学の4年生。
東大・医学部の受験やキャンパスライフ、それからの生活について両方経験をし、知っている方はなかなかいないので、このインタビューは非常に貴重なものになります。
目次
医学部と東大はどっちが難しい?3つの観点から難易度を徹底比較!
まずは、医学部と東大の入試について、「偏差値」「受験科目」「出題内容」の3つの観点から、難易度を比較してもらいました。
偏差値の違い
ーー医学部と東大では偏差値はどれくらい違うのでしょうか?
田島 予備校が出している偏差値だと、東大と一般的な地方国立医学部では大体2.5くらい差があり、東大のほうが上です。
そして、中堅旧帝大医学部になると、東大理Ⅰと大体同じくらいですね。
その上に阪大医学部・京大医学部と来て、東大理Ⅲが頂点に来るイメージです。
偏差値の数値だけでなく、体感的にもそれは正しいと思います。浪人をしていた時の周囲の人を思い返しても、東大理Ⅰに受かった自分と同じくらいの学力の人は名古屋大学医学部などに進学していました。
偏差値の比較 | |
---|---|
大学(大学群) | 偏差値 |
東京大学理科Ⅲ類 | 83 |
京都大学医学部医学科 | 82 |
大阪大学医学部医学科 | 80 |
東京大学理科Ⅰ類 | 77 |
旧帝国大学の医学部医学科 | 75 |
受験科目の違い
ーー医学部と東大では、受験科目の違いはありますか?
田島 まず、二次試験での国語の有無が大きく違います。東大では国語も受験する必要がありますが、医学部では、東大理Ⅲや京大医学部を除くと基本的にないです。
あとは共通テストの比率が医学部の方が大きいことが多い印象ですね。
東大は900点を110点に圧縮する上に、二次試験の配点は440なので、20%しか共通テストの比率がないんです。
また、センター試験(当時)の東大の足切りは750/900(約83%)くらいで、それさえ超えれば、二次試験でいくらでも結果が入れ替わります。
東大志望者にとっては、センター試験でそのくらいの点を超えることは簡単なので、あえてセンターでは社会などマイナー科目は手を抜き、二次試験の準備に専念する人もいます。
自分が合格した年の東大の二次試験では、210/440くらいが最低点でした。例年、220点前後で推移しているはずです。
自分は数学が苦手(大体東大の合格者はみんな大問3つくらいを完答しますが、自分は0でした)でしたが、英語がとても得意(100/120くらいとれました)だったため、挽回できました。
東大は意外と、突き抜けて得意な科目があれば苦手科目があってもどうにかなる場合があります。
一方、医学部の共通テストの割合は、最上位層を除けば35〜50%付近の大学が多く、今僕が通っている浜松医科大学も、前期試験の共テの配分は38%くらいです。
高いところでは総合点数の70%くらいを共通テストが占める医学部もあり、共通テストも二次試験も満遍なく得点する必要があります。
また、医学部では面接や小論文もあるので、単純な学力だけで判断されるわけではありません。人間的な道徳観などが伴っていないと、不合格になる場合もあります。
実際、こういった背景もあってか、東大の方が良くも悪くも「ずれている」「変わっている」人が多いです。下駄や袴で登校する人などもいます。
医学部 | 東大 | |
---|---|---|
二次試験での国語の有無 | 基本的になし | あり |
共通テストの比重 | 比重が多い(35-50%程度) | 比重が少ない(20%ほど) |
面接や小論文 | あり | なし |
出題内容の違い
ーー医学部と東大では、出題内容にも違いはあるんでしょうか?
田島 大きく違うと思います。ここでは、東大と一般的な国立大学医学部の比較という前提で話をしますね。
東大の問題は難易度が高いので、50%取れれば御の字みたいなイメージです。
参考書の問題の類題とかいうレベルではなく、複数の分野が組み合わさった複合的な問題(特に数学物理化学ではこの傾向が強い)が多く、思考力・応用力が問われます。「スペシャリスト」が受かりやすい問題構成だなという印象です。
一方、医学部では、参考書に掲載されているような標準的な問題を、満遍なく時間内に解き切る力が大事になってきます。苦手科目のない「ジェネラリスト」タイプの受験生が受かりやすいと思いますね。
東大 | 医学部 | |
---|---|---|
問われるもの | 思考力・応用力 | 標準的な問題を満遍なく素早く解く力 |
受かりやすい人 | スペシャリスト | ジェネラリスト |
難易度まとめ:医学部と東大では求められるものが違う!しかしあえていうなら東大の方が難しい!
ーー まとめると、医学部と東大では、どちらの方が難しいと思いますか?
田島 大前提、医学部と東大では求められているものは全く違うので、一概には比較できません。
しかし、強いて数字で比較するなら、東大が10だとしたら、地方医学部は8-9くらいだと思います。
東大の方が、自分で論理や思考を組み立てる力が問われます。(見たことない問題にどう立ち向かうか、が見られているということです)
一方で医学部では、標準的なことをそつなくこなす力が問われる傾向にあります。
特定の科目を極限まで極めるよりも、どの分野の標準的な問題にも対応できる力をつけることの方が、多くの人にとっては楽に思えるのではないかと思います。
そもそも、東大と医学部では、育成したい人物像が違うと思います。それが、こういった入試傾向にも現れているのではないでしょうか。
東大は、世界に羽ばたく研究者や、国・世界を動かす人材を輩出したいのです。
対して医学部は、(特に地方だと)医療現場でローカルに働ける人を育てたい思考が強いと思います。旧帝大など上位層はその限りではないと思いますが。
医学部と東大どっちを目指すべき?どちらも経験した編入生に、キャンパスライフや卒業後のキャリアを聞いてみた!
ここまで入試の難易度について比較してきましたが、入学してからの生活も、医学部と東大では大きく異なります。
どちらのキャンパスライフも経験している田島さんに、この点に関しても詳しく話を聞いてきました。
医学部に入学してからの生活-医学・医療の領域に特化した、深く密な6年間を過ごす!
ーーまずは、田島さんの現在の医学生としての生活ぶりを聞いてみたいと思います。
医学部のキャンパスライフ
ーー医学部のキャンパスライフは、どのようなものでしょうか?
田島 大学というより専門学校ですね。ほぼ全ての科目が必修ですし、決められたことを決められた通りにこなすという印象が強いです。1つでも単位を落とせば留年してしまいますしね。
いわゆる都会の大学生的な生活は、どの大学の医学部に行ってもあまりないと思います。
中高の延長みたいな印象が強い印象を受けました。人間関係も固定され、良くも悪くも閉鎖的な環境になりがちです。
ただその分、深い人間関係が作れます。医者の社会は狭いので、こういった意味では将来的には役に立つ側面もありそうだと思いますね。
医学部卒業後のキャリア・生活
ーー医学部卒業後のキャリアや生活はどのようなものなのでしょうか?
田島 ほぼ100%が素直に医者になると思います。入学当初から医学一本の勉強になるためです。
ただ、社会人も経験している自分から見ると、それをみんな当たり前だと思いすぎているとも思います。
医学生であっても、商社やコンサルなど一般的な企業に行く道も、特に今では開かれているはず。
しかし医学部の生活では、それに触れる機会がなさすぎていると感じています。内部の人が思っている以上に、実は医学生のキャリアの幅は広いはずです。
医学部を目指すべき人の特徴
ーーでは、医学部を目指すべき人・医学部が向いている人の特徴は何だと思いますか?
田島 まず第一には、医学をやりたい人・医者になりたい人ですかね。
あとは、「特にやりたいことが決まってないし、自分で進路を選択することも面倒くさいが、勉強はそれなりに得意な人」も、医学部に入っておくと潰しが効くと思います。
さらに、創造性に自信がない人も医学部に向いていると思いますね。
周囲の環境や常識にあまり疑問を持たず、置かれた環境で一つのことに集中できるタイプの人にとっては、医学部は居心地がいいのではと思います。
東大に入学してからの生活-良くも悪くも自由で多様。自分の視野や選択肢が広がる!
ーーでは一方で、東大にいた頃の田島さんの生活は、どのようなものだったのかについても聞いていきたいと思います。
東大のキャンパスライフ
ーー東大でのキャンパスライフはどういうものでしたか?
田島 まとめると、とにかく自由です。必修科目も限られているんですよ。出席も緩くて。国内外からいろんな人が集まっていて、とにかく多様性があります。
いろんな選択肢の中から自分で学ぶことを選択したい人には、東大は合っていると思います。特に地方から東大に行くと、本当に頭の良い人や、色々と変わった人に会えて新鮮です。
官僚が身近にいたり、上場企業の役員クラスの人が講義に来ることも普通にあります。こういう人の話は、医学部にいるとなかなか聞けません。
また、もっと分かりやすい話でいうと、留学先も非常に幅広いです。学力さえ伴えば、オックスフォードやイエール大学など、海外の超有名大学にも行けました。
こういうところに魅力を感じる人は、東大が向いてそうだと思いますね。
東大卒業後のキャリア・生活
ーー東大卒業後のキャリアや生活はどういったものですか?
田島 もちろん学科にもよりますが、理系の場合、就職の内訳はおおよそ以下のようになると思います。
割合 | 就職先 |
---|---|
成績最上位の5% | 外資系コンサル(マッキンゼー、BCGなど) |
20% | 国内の有名商社、メガバンク(伊藤忠、三井住友銀行など) |
20% | 官僚 |
30% | その他上場企業、シンクタンク |
その他 | 特定の分野で有名な中小・ベンチャー 研究者 |
最上位の5%くらいの人は、やはり外資系コンサルに行くイメージです。他とは比べ物にならない忙しさですが、その分、収入も群を抜いて高いです。
それ以外の人は、自分の希望などによって様々なキャリアを選びます。
20%くらいは、国内の有名な商社やメガバンクに就職し、別の20%くらいは、官僚になります(現在は官僚の人気は下がっているので、もう少し割合は少ないかもしれません)。
さらに別の30%程度は、その他の上場企業に就職するケースが多いです。その他は、中小企業やベンチャーに就職したり、研究者を目指す場合が多いと思います。
入学当初は研究者を志望する人もかなり多いのですが、実際に大学に入って色々な人と出会い、社会経験を積むと、収入や将来設計の観点から研究の道を諦める人が大半になってしまいます。
他にやりたいことを見つけたり、社会に貢献する道をおのおの模索していく印象ですね。
それでもなお研究の道を選ぶ人は、やりたいことに強い情熱を持っている人や、良くも悪くも「変わってる」といわれがちな人である場合も多く、就活で苦戦しがちなタイプも少なくないです。
また、コンサルや企業の技術職になっても、あとから大学に戻る人もいます。
技術職の場合は、体感で20%くらいが、現場に入ってから新しい技術などを知って、もっとその分野を極めたいと思う場合が多いです。技術系の道に進むと、卒業後も学会などで大学との関わりも強くなりますね。
東大を目指すべき人の特徴
ーーでは、東大を目指すべき人・東大が向いている人の特徴は何だと思いますか?
田島 まず、医学以外に、研究したい分野が決まっている人ですね。
次に、自分の視野を広げたい人。
特に、地方公立高から東大に行くと、周囲の人間性の違いに驚くと思います。刺激がとても多く、そういう意味でいい経験になるので。元々開成・灘など全国区の名門校にいた人などは、中高の延長だと思うかもしれないですけど。
あとは、学生のうちに留学したい人も東大に向いていると思います。東大から留学すると、海外で学位を取れる場合も比較的多いからです。自分も修士号を取ったし、留学費用の調達でも大学がサポートしてくれました。
また、やりたいことはなくても、選択肢は多く持っておきたい人も、東大に行くのが向いていると思います。
医学部から留学すると、海外で学位を取るようなことはあまりないし、博士号をとる場合もハードルがかなり高い印象です。
医学の勉強は大変なので、そもそも学生のうちは留学にリソースも割きにくいし、(特に地方の)臨床医になるという観点では有利になりづらい(というか要らない)んですよ。
臨床では現場での対人能力や技術力・仕事力の方が大事になってくるので、それに特化した勉強をする方がいいと思います。
適性まとめ:医学部・東大は、それぞれこんな人が向いている!
ーーまとめると、医学部・東大はそれぞれどんな人が向いていますか?
田島 医学に明確な憧れや興味がある人は、間違いなく医学部を目指すべきです。
あとは、やりたいことが決まってないが自分で進路を選び取る気にもなれない人も、医学部に入った方が潰しが効きます。少し乱暴な表現にはなりますが、与えられた勉強だけしていれば、無条件で医者というルートを歩めるので。
一方で、医学以外の分野を学んだり極めたい人は、東大に行くべきです。
また、特にやりたいことが決まってないが、選択肢は多く持っておきたい人も東大が向いています。大学内の人間関係の幅はもちろん、履修科目・留学など学業においても選択肢が多いからです。
東大 | 医学部 | |
---|---|---|
キャンパスライフ | 自由で多様性がある 留学もしやすい |
専門学校に近い 深く密な人間関係が作れる |
卒業後のキャリア | 外資コンサル 国内の大手商社・メガバンク 官僚 上場企業 研究者など |
ほぼ100%が医師になる (ただし、その他の進路も開かれてはいる) |
向いている人 | 医学以外に研究したい分野がある人 自分の視野を広げたい人 学生のうちに留学したい人 |
医者になりたい人 医学を学びたい人 勉強は得意だが、やりたいことは特にない人 |
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医学部を目指すなら、東大にこだわる必要はない!最短で入学できる道を模索しよう!
ここまでインタビュー形式で田島拳士郎さんに、医学部・東大両方の偏差値の違いや受験科目の違い、出題内容の違いといった入学前のことから、入学後のキャンパスライフ、どんな人が向いているか、卒業後のキャリア・生活までをお聞きしました。
医学部と東大を両方とも経験している田島さんにしかわからないことをうかがうことができて、大変勉強になりましたね。
また、田島さんは「医学に明確な憧れや興味がある人は、間違いなく医学部を目指すべきです」とおっしゃっていました。
つまり、今まで東大と医学部を比較してお話を聞いてきましたが、医学部に行きたいという方は東大でなくてもいいのです。
医師(特に臨床医)を志すなら、東大をはじめとした上位・最難関の大学にこだわる必要はありません。
ただでさえ医学部は、国内最高峰の狭き門。自分の行きたい大学に固執するより、「最短で医師になるルートを選ぶ」のも一つの戦略になってきます。
自分に合った勉強法を確立し、模試を受け、着実に力をつけていき、自分が「受かる」医学部を目指していくことが大切です。
大学にこだわるよりも、「早く医学部に合格して、医師免許を取る」。医学部・医師を目指す人は、このような思考をもって勉学に励むのも良いかもしれませんね。
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それでは、また次の受験コラムでお会いしましょう!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!