医学部の偏差値はどれくらい?国公立・私立それぞれランキングで解説!偏差値の低い簡単な医学部は存在する?

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浜松医進会塾長/浜松医科大学医学部医学科4年

東海中学・高校学校を卒業。1年間の浪人生活を経て浜松医科大学へ入学。高校卒業時は学年最下層の成績だったが、1年間の猛勉強の末に医学部へ進学した。

こうした自身の経験をもとに、2023年に浜松医進会を立ち上げ。

大学受験界隈ではしばしば、「医学部は偏差値が高い」と言われています。しかし、それぞれが志望する医学部の偏差値が全体でどれくらいに位置するのかはなかなかイメージが持ちづらいのではないでしょうか?

「自分が受験する予定の医学部の偏差値や難易度感が知りたい!」
「医者になりたいけど、あまり自信がなく偏差値が低めの大学の難易度を確認しておきたい」

このような考えや不安を持っている方に向けて、この記事では国公立大学・私立大学医学部の偏差値ランキング、特に難しい大学や比較的偏差値低めの大学・その具体的な難易度について徹底解説していきます。

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国公立大学医学部の偏差値ランキング

まずは、国公立大学医学部の偏差値ランキングを見ていきます。河合塾調べの医学部偏差値ランキングは、次の表の通りになっています。

大学名 偏差値
東京大学 72.5
京都大学 72.5
東京科学大学 70
大阪大学 70
奈良県立医科大学 ※後期 70
東北大学 67.5
千葉大学 67.5
山梨大学 ※後期 67.5
名古屋大学 67.5
神戸大学 67.5
岡山大学 67.5
九州大学 67.5
横浜市立大学 67.5
京都府立医科大学 67.5
大阪公立大学 67.5
北海道大学 65
筑波大学 65
新潟大学 65
金沢大学 65
信州大学 65
岐阜大学 65
浜松医科大学 65
三重大学 65
滋賀医科大学 65
島根大学 65
広島大学 65
山口大学 65
愛媛大学 65
長崎大学 65
名古屋市立大学 65
旭川医科大学 62.5
弘前大学 62.5
秋田大学 62.5
山形大学 62.5
群馬大学 62.5
富山大学 62.5
鳥取大学 62.5
徳島大学 62.5
香川大学 62.5
高知大学 62.5
佐賀大学 62.5
熊本大学 62.5
大分大学 62.5
宮崎大学 62.5
鹿児島大学 62.5
琉球大学 62.5
札幌医科大学 62.5
福島県立医科大学 62.5
和歌山県立医科大学 62.5

国公立大学医学部の偏差値は、62.5から72.5の間に分布していることが分かりますね。河合塾の偏差値算出はややシビアで、東大・京大以外の旧帝大理系学部でも偏差値60程度のことが多いです。そのため、医学部の62.5以上という偏差値が非常に厳しいものであることが分かるかと思います。

 また、各大学の医学部に共通する特徴に同大学の他学部より圧倒的に偏差値が高くなるというものがあります。例えば、医学部偏差値が67.5の大阪公立大学は、獣医以外の理系学部前期試験の偏差値が55となっています。その偏差値差は12.5であり、別物レベルで難易度が違うと言っていいでしょう。旧帝大であっても、東北大学医学部は偏差値67.5、理学部は偏差値60になっているなど、大きく差は開いています。総じて、世間一般のイメージ通り医学部の偏差値は高く、非常に難易度が高いラインでまとまっていると言えるでしょう。

偏差値が高い国公立大学医学部5選

大学名 偏差値
東京大学(理科Ⅲ類) 72.5
京都大学 72.5
東京科学大学

(旧東京医科歯科大学)

70
大阪大学 70
奈良県立医科大学大学 ※後期 70

まずは、東京大学・京都大学の医学部です。日本最高難易度の国立大学の2大学は、医学部の偏差値ももちろん最高レベルであり、その偏差値は72.5と他を圧倒しています。また、各大学の他学部と同様に数学・英語・理科2科目・国語の5科目の2次試験をクリアする必要があるため、非常に用意する密度が濃いです。合格最低点も他各部より10%以上高くなるため、間違いなく医学部最高難度、かつ大学受験全体でも最高難度の一角です。

次に偏差値の高い大学が、東京科学大学(旧東京医科歯科大学)・大阪大学・奈良県立医科大学の3つです。いずれも偏差値は70を記録しています。東京大学理科一類の偏差値が67.5のため、東大より難しい大学と考えることも出来ます。

このうち、大阪大学はそもそもがかなり高難易度の大阪大学理系入試に挑む必要があり、その中で他学部より12から15%ほど高い最低点を取らないといけないという点で非常に難易度が高いです。

東京科学大学は、合併前の東京医科歯科大学の流れを汲んだ試験構成になることが予想されています。そのため、単科医科大学らしい超高難度の問題が多数出題されます。英語では医療単語が注釈なしで出てくる、数学は膨大な計算量をミスなくこなさないといけないなどかなり厳しい試験です。ただし、合併があった都合上、今後長い目で見た際に出題傾向が変わる可能性は十分ありますので、動向に注視が必要です。

奈良県立医科大学は、後期試験でのみ学科試験を実施しているやや特殊な大学です。奈良県立医科大学は、東大理科Ⅲ類・京大医学部・阪大医学部などの偏差値最上位大学医学部を前期で受験した受験生から後期の出願先として選ばれることが多い大学です。そのため、偏差値が70と非常に高くまとまっています。入試問題自体も東京科学大学と同様、医療知識が前提として求められる問題や計算量が求められる難問を多数要求されるため、非常に難易度が高いです。この特徴は、同じく後期での受験日程しか存在しない山梨大学(偏差値67.5)でも見られることがあるので注意しましょう。

偏差値が低めの国公立大学医学部5選

大学名 偏差値 2次試験科目数
旭川医科大学 62.5 2
弘前大学 62.5 2
秋田大学 62.5 2
徳島大学 62.5 2
群馬大学 62.5 3

一般に、2次試験での対策科目が多いほど国公立大学受験の難易度は高くなります。同じ偏差値でも、2次試験科目数が2科目の大学と4科目の大学では、科目ごとにかけられる時間が大きく変わってくるため、難易度も別物と考えて問題ありません。

この観点で考えると、2次の学科試験数が2科目かつ偏差値62.5である旭川医科大学・弘前大学・秋田大学・徳島大学は国公立大学医学部全体では難易度が最も低いラインになると言えます。また、3科目受験の群馬大学もこれに次いで偏差値が低めかつ難易度が低めの国公立大学医学部であると言えるでしょう。

偏差値の低い医学部は簡単?実際の難易度を紹介!

先ほど、偏差値が低めの国公立大学医学部を5校紹介しました。これらの大学について、国公立大学医学部の中では相対的に偏差値・難易度が低めなのは間違いありません。これに合わせて、絶対的な難易度はどれくらいなのか気になる方も多いのではないでしょうか?

今回は、2024年度旭川医科大学医学部の入試結果をベースに、共通テストでの目標得点率、2次試験の難易度から考えていきます。

まずは、共通テストの目標点から考えていきます。旭川医科大学医学部合格者の共通テスト平均得点率は79.5%となっています。共通テストで8割取ると全受験生中上位15%以内である、と言われています。そのため、旭川医科大学医学部合格者は、平均して全受験生のうち上位15%程度の実力を有していると言えるでしょう。共通テストの観点では決して簡単ではないことがわかりますね。

次に、2次試験について見ていきます。旭川医科大学医学部の2次試験は、数学・英語の2科目+面接試験で構成されています。まず、数学は全問が医学部固有問題のため難易度が高くまとまっています。計算量が多く、時間もその割には短めのため高い得点率を出すのは難しいです。

また、英語は1000語クラスの英語長文が2題・180語程度の記述が要求される自由英作文が1題という構成です。この分量の問題を90分という短時間で解き切ることが要求されるため、こちらも非常に難易度が高くまとまっています。合格には、これらの試験で65%程度の得点率が必要となるため、2次試験も決して簡単ではないでしょう。むしろ、絶対評価としての難易度は大学受験全体で見ても高い部類です。

以上の通り、偏差値の低い国公立大学医学部はあくまで医学部の中では相対的に簡単というだけで、決して難易度は低くありません。むしろ大学受験全体で見れば非常に高い部類となっています。今回は旭川医科大学医学部をベースに見ましたが、ほかの偏差値が低めの国公立大学医学部も概ね似たような状況です。共通テストでは8割程度の得点率を要求され、2次試験は医学部独自問題でかなり難易度が高い・あるいは他学部共通問題であったとしても非常に高い得点率を要求されることが大多数です。

そのため、偏差値が低い国公立大学医学部は簡単・合格しやすいということは決してありません。医学部受験を目指す場合は、志望校の偏差値によらずしっかりと準備をしていくことが必須と言えます。

国公立大学医学部のメリット・デメリット

ここまで、国公立大学医学部について偏差値、実際の難易度を見ていきました。ここからは、具体的なメリット・デメリットを見ていきます。

国公立大学医学部のメリットは、私立大学医学部と比較して学費がかなり安価な点です。国公立大学の学費は、学部を問わず定額となっています。年間53万5800円と決まっているため、6年間で320万円程度です。詳細は後述しますが、私立大学医学部の平均学費は3200万円程度のため、非常に大きな差がある状態です。国公立大学医学部を受験するうえでとても大きなメリットと言っていいでしょう。

対して、国公立大学医学部のデメリットは勉強する科目が膨大になる点です。

私立大学医学部の場合、受験科目は英語・数学・理科2科目の4科目受験であることが多いです。これに対し、国公立大学医学部の場合は共通テストで6教科8科目受験・2次試験で2〜4科目高難易度の筆記試験問題を解く必要があります。対策すべき問題の科目・総量・傾向のいずれもかなり膨大になってくるため、非常にハードルが高くなっています。合格水準に達するのが厳しいという面ではある種デメリットと言えるでしょう。

また、国公立大学医学部はその学費の安さから人気が非常に高く、倍率がかなり高くなりやすいです。例えば、医学部偏差値65の島根大学は大学全体の前期倍率が2.5倍程度ですが、医学部の倍率は8倍前後ときわめて高くなっています。後期試験を実施している大学の絶対数も少なく、浪人せざるを得なくなる可能性が高いのもデメリットと言えます。

国公立大学医学部は、難易度面でのデメリットが目立ちますが、それを補って余りある学費面のメリットがあることは事実です。受験を検討していく際は、早期から丁寧な準備をしてくことは必須のため、効率よく学習していきましょう。

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私立大学医学部の偏差値ランキング

次は、私立大学医学部の偏差値ランキングを見ていきます。河合塾調べの医学部偏差値ランキングは、次の表の通りになっています。

大学名 偏差値
慶應義塾大学 72.5
順天堂大学 70
東京慈恵会医科大学 70
日本医科大学 70
関西医科大学 70
自治医科大学 67.5
昭和医科大学 67.5
東京医科大学 67.5
東邦大学 67.5
大阪医科薬科大学 67.5
産業医科大学 67.5
東北医科薬科大学 65
国際医療福祉大学 65
杏林大学 65
帝京大学 65
東海大学 65
日本大学 65
藤田医科大学 65
近畿大学 65
岩手医科大学 62.5
獨協医科大学 62.5
埼玉医科大学 62.5
北里大学 62.5
聖マリアンナ医科大学 62.5
金沢医科大学 62.5
愛知医科大学 62.5
兵庫医科大学 62.5
久留米大学 62.5
福岡大学 62.5
東京女子医科大学 60
川崎医科大学 60

私立大学医学部の偏差値は、60から72.5の間に分布していることが分かります。国公立大学医学部よりも少しだけ分布の幅が広い特徴が見られますね。

私立大学は、大学ごとの科目数・難易度量の差が激しく、同じ偏差値で見ても受験する科目数が全く違うことが多々あります。しかし、私立大学医学部はいずれも英語・数学・理科2科目の4科目受験を要求されるため他の私立大学よりもほぼすべてのケースで必要な科目数が多くなっています。対策に要する時間も分散せざるをえないため、その難易度は非常に高いと言えるでしょう。

偏差値が高い私立大学医学部5選

大学名 偏差値
慶應義塾大学 72.5
順天堂大学 70
東京慈恵会医科大学 70
日本医科大学 70
関西医科大学 70

先ほどの偏差値ランキングを基に、偏差値が高い私立大学医学部を5つ見ていきます。

私立大学医学部のうち、最も偏差値が高いのが慶應義塾大学医学部です。その偏差値は72.5と大学受験全体で見ても最上位クラスとなっています。4科目ともが超難易度でまとまっており、仮に東大志願者であったとしてもゆとりを持って解くことは難しい状況です。

次点で偏差値が高いのが、順天堂大学・東京慈恵会医科大学・日本医科大学・関西医科大学の4大学です。偏差値はいずれも70となっています。これらの大学は、問題が難しいことはもちろんですが、それ以上に受験を志望する生徒の多さから偏差値が高まっています。この4大学は、いずれも私立大学医学部の中では学費が安価な部類となっています。例えば、順天堂大学医学部は6年間の合計学費が2080万円となっており、私立大学医学部全体の平均より1000万円以上安価となっています。このほかにも、学費が安価な私立大学医学部は偏差値が高い傾向にあります。

偏差値が低めの私立大学医学部5選

続いて、私立大学医学部の中で相対的に偏差値が低めの大学を5つ紹介します。

大学名 偏差値 独自試験科目数
東京女子医科大学 60 4
川崎医科大学 60 4
岩手医科大学 62.5 4
金沢医科大学 62.5 4
福岡大学 62.5 4

これらの大学は、立地が地方に寄っている・あるいは学費が平均よりも高い傾向にあります。例えば、偏差値62.5の福岡大学医学部は6年間の学費総額が3780万円程度であり、平均よりも500万円以上高くなっています。また、川崎医科大学は私立大学医学部の中でも最も学費が高く、6年間の総額は4725万円となっています。私立大学医学部は、偏差値の高さと学費の安さが反比例する傾向にあるのが特徴と言えるでしょう。

私立大学医学部の難易度はどれくらい?国公立大学との違いは?

ここまで、私立大学医学部の偏差値状況を細かく見ていきました。独自の特徴が多い私立大学医学部ですが、国公立大学医学部とはどう違うのでしょうか?この項目では難易度・入試対策・学費の観点から考えていきます。

入試科目が少なく、対策すべき科目が減るが、癖の強い出題をする大学も多い

私立大学医学部は、国公立大学医学部と比較すると対策すべき入試科目が減っています

国公立大学医学部のデメリットの項目でも見た通り、国公立大学医学部の場合は共通テストで6教科8科目の勉強・対策が必須です。これに加えて2次試験対策も入ってくるため非常に負担が大きいです。

これに対し、私立大学医学部は共通テストは原則不要、独自試験も英語・数学・理科2科目の4科目でまとまっています。4科目の勉強が楽というわけでは決してありませんが、共通テストで全科目受験が必要な国公立大学医学部と比較すると私立大学医学部の方が1つ1つの科目に多くの時間を割くことができます。これは明確に私立大学医学部受験を主軸に考えた際の強みです。

では、私立大学医学部は簡単に合格することができるのでしょうか?これは明確にNOと言えます。

私立大学医学部は、大学ごとに非常に癖の強い問題を出すケースが多くあります。また、癖はなくとも時間制限が非常に厳しい大学も存在するため、その難易度は決して低くありません。

そのため、私立大学医学部に合格するためには、「共通の○○の対策を実践する」よりも「○○大学医学部合格のために対策をする」動きの方が必要になってきます。受験を検討する大学の過去問研究・演習が非常に重要です。

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国公立大学とは学費が大きく変わってくる

私立大学医学部受験を検討するうえで絶対に欠かせないのが学費の問題です。記事内でも繰り返し記載してきましたが、私立大学医学部の平均学費は3200万円であり、国公立大学医学部とは6年間で3000万円近い差があります。私立大学医学部の中で最も学費が安い国際医療福祉大学でも1800万円程度のため、非常に高額です。どんな進路を選ぶにしても家庭での相談は必須ではありますが、特に私立大学医学部への進学を希望する場合は、ご家庭の経済状況や、必要であれば奨学金の利用まで検討し、しっかりとご家庭の中で意思決定を固めてから受験することを強くおすすめします。

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ここまで国公立大学・私立大学医学部それぞれの偏差値ランキング、それぞれの難易度や特徴について紹介してきました。

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まとめ

この記事では、医学部全体の偏差値、その具体的な難易度について解説していきました。

受験に向けて分からない点が少しでも解決したでしょうか?記事内でも繰り返し記載した通り、医学部内で偏差値が低い大学は存在します。しかし、それらの大学も決して簡単に合格できるわけではありません。

偏差値を上げて医学部に合格するためには、早期から志望校に合わせた適切な勉強カリキュラムを組み、漏れなく対策を進めることが必要不可欠です。この記事を読んだ皆さんが、自分の志望する医学部の偏差値を把握したうえで、最適な学習をするきっかけになれば幸いです。

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